「KYOTO OPEN ATELIER 2022」開催に寄せて
「KYOTO OPEN ATELIER2022」は、一義的には「アーティストの制作現場で交流型の鑑賞・購入体験を楽しむ」イベントであるが、本イベントをきっかけに改めて京都におけるアーティストコミュニティの現在地と、この先に浮き上がるであろうコミュニティの未来像を探ることも目的としている。
逆説的なことではあるが、前提としてこのイベントが成り立つということは、京都市内において「複数のシェアスタジオ」が存在しているということである。
また、これまでも京都では定期的にオープンスタジオや、アトリエ巡りイベントが開催されてきたことも関係者・アートファンの間では有名であろう。
現時点では、京都におけるアーティストコミュニティと他エリアとの差異を明示できる根拠は持ち合わせていないが、
・市内の芸術大学の多さ及び教育方針の違い
・職人文化を筆頭とした街の歴史
・不動産価格(主に賃料)の低廉さ
・顧客(コレクター)と作家との距離感
など各領域での「京都市内ならでは」の事象が絡み合い、独自のコミュニティ形成に繋がっているのではないかと推測している。
一方で、同コミュニティ形成・維持には当然に運営者が必要であるが、現状は原則アーティスト自らが運営も担っていることが殆どのケースである。
東京におけるアーティストランニングスペースと異なり、シェアスタジオ運営は「制作場所としての運営」に特化していることも一つの特徴と感じている。
作家が自身の制作と並行して運営を行っているため、それぞれ課題を抱えている部分もあり、前向きなコミュニティの維持・発展のためには「課題の共有」や「所属アトリエを超えた連携」を求められつつあるフェーズに到達している。
今回、「KYOTO OPEN ATELIER 2022」にて、アーティストコミュニティを巡り・対話し、そして同活動をアーカイブすることで、「京都におけるアーティストコミュニティの今後」を考え・創り上げるキックオフとしたい。
YOMAFIG.